フェライト生成元素であるCr,Mo,Siなどが適度に調整されているためフェライト系は熱処理を行ってもマルテンサイトのように硬化はせず、高温下でも磁性を持ちます、マルテンサイト系よりもクロムの含有比率が高く、比較的耐食性に優れます。溶接性もそこそこあり、また軟質で延性に富んだ材料です。
またオーステナイト系に比べて熱膨張係数が小さく、ニッケルを含まない鋼種のため、硫黄(S)を含むガスに対して耐高温腐食性が優れ、溶接性も悪くないので、800℃までの炉部品や化学設備にも利用されます。
TOP >軟質磁性材料とは
概要:
磁力を保持する力が小さく、透磁性が大きい材料のことを軟磁性材料(軟質磁性体)と呼びます。
軟磁性材料は磁場の影響下では強く磁化されますが、磁場が存在しない場合は磁力を持たない性質を持ち、多くの業界で利用される付加価値の高い材料です。
用途・特徴:
軟磁性材料の部品は主に家電機器やコンピューター関連の事務機器、あるいは一般産業機器部品として採用されており、現在では各種空油圧機器、
自動車エンジンの燃料噴射装置の電磁弁をはじめとして、ソレノイドコア、インジェクタコア、プランジャー、トルクセンサコア、各種センサー等、さまざまな用途で用いられています。
特に軟磁性部品の中でも、高精度や微細形状を要求される部品の多くは、現状切削加工や粉末冶金法を用いて製作されていますが、課題も数多く存在しています。
そこで太盛工業ではMIMによる磁性部品の製造研究に取り組み、実用化に至る所まで漕ぎ着けることができました(経済産業省 戦略的基盤技術高度化支援事業 採択)。
メリット:
MIM技術の特徴である、特に磁気歪を気にする事なく、複雑形状への対応、大ロットへの対応、高い材料歩留まり性を活かした形で、
ネットシェイプでの軟磁性部品 製造へ応用することができ、軟磁性部品を高精度で製作可能です。
フェライト系ステンレスからFe3Si、パーマロイといった材質まで製造可能で、
切削加工と比較すると、形状によりますが1/10まで製品1個当たりのコストを下げることも可能です。
【MIM技術での磁性材料の特長】
【主な適応材料・種類】
保持力 | 最大比透磁率 | 磁束密度 | 最大磁束密度 | |
Hc(A/m) | μm(10^3) | B(T) | Bs(T) | |
SUS410L | 160 | 2.0 | 1.08 | 1.29 |
Fe-3%Si | 20~130 | 4.5~13 | 1.66~1.75 | 1.92~2.12 |
Fe-Ni(PB) | 6.4 | 19.0 | 1.5 | 1.5 |
フェライト生成元素であるCr,Mo,Siなどが適度に調整されているためフェライト系は熱処理を行ってもマルテンサイトのように硬化はせず、高温下でも磁性を持ちます、マルテンサイト系よりもクロムの含有比率が高く、比較的耐食性に優れます。溶接性もそこそこあり、また軟質で延性に富んだ材料です。
またオーステナイト系に比べて熱膨張係数が小さく、ニッケルを含まない鋼種のため、硫黄(S)を含むガスに対して耐高温腐食性が優れ、溶接性も悪くないので、800℃までの炉部品や化学設備にも利用されます。
Fe-Ni系合金
パーマロイ (英語: permalloy) はNi-Feの合金で初透磁率を大きくすることを目的に作られたニッケルを35~80%含む合金で、permeability(透磁率)+alloy(合金)からパーマロイと呼ばれ、微少な磁場の変化に対して容易に応答することから多くの電磁弁や磁気ヘッド用途として用いられる。
更に銅、クロム、モリブデンなどを添加することで、磁気特性の調整が可能です。
Fe-Si系合金
FeにSiを添加することで、純Feと比べて保持力が小さく、電気抵抗が大きくなる事から鉄損が少なく,軟磁性材料として
優れる事が知られる。しかしながら材質が硬く、脆くなることから加工性が悪化するため機械加工での取扱は困難になります。
そこで、粉末ベースから最終形状部品の生産が可能となるMIMでの生産が期待されています。
その他の軟磁性材料、新規の合金系・複合化に関しても是非お問い合わせください。