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Micro Metal Injection Molding
Technical NEWS LETTER
株式会社 日本マイクロMIMホールディングス 技術ニュース
金属粉末射出成形のマイクロ化への挑戦
MIM技術が最も得意とするのは「複雑な三次元形状を有する精密部品をネットシェイプで量産すること」そして「加工が困難な材質およびテーラーメイド合金による生産」です。
今まで不可能と思われていた複雑形状の微細部品の量産化を可能とするMIM技術に対して、精密機器,電気・通信機器,さらに自動車や医療機器など幅広い分野から大きな期待を寄せられています。
日本は諸外国に比べて、精密金型が短納期で製造可能であり、高品質な金属微粉末がMIM向けに提供されているため、我が国のMIMによる製造技術の国際競争力は非常に高いと言えます。
しかし、アジア諸国の大量生産体制により、MIMの製造コストが大幅に低減できるため、今後はMIM製造のグローバル化と低コスト化が急速に進行する可能性が高くなると思われます。
これに加え、国内のMIM製品の寸法精度や表面性状などの品質および納期に対する要求は、精密機械加工法やロストワックス法と比較され、一層高くなりつつあります。
このようなMIMを取り巻く国内外の情勢が著しく変化する中で、国内でのMIM製造の利点および技術力が発揮できる新しい展開が必須であり、その違いを明確に主張することが必要です。
私どもは特にマイクロ金属粉末射出成形(Micro Metal Injection Molding, μ-MIM®)法の更なる発展を目指して、その挑戦を続けています。
変化を恐れず、未来にある「何かを」実現
MIMの高品質化の追求こそが、そのマイクロ化に結びつくコア技術であると確信し、各製造工程における課題に対して個々に改善を行ってきました。
例えば、μ-MIMに特化した原料およびバインダの選定、混練の均質性評価および改善方法の検討、マイクロ射出成形機の導入および成形条件の最適化、脱脂・焼結工程の安定化、さらに微視的スケールでの評価方法の考案などをこれまで実施してきました。
高品質化の追求として具体的には下記の課題を中心に取り組んできました。
原料
高い流動性と転写性が可能な粉末の選択および弊社独自のバインダ成分の最適化
射出成形
微細加工金型の導入,材料の充填性、成形安定性および離型性・搬送性の向上
検査
どのような形状にも対応が可能で精密かつ迅速な評価・分析方法の確立
混錬・造粒
ペレットの均質化・流動特性の制御、製造工程の短縮・再現性の確保
脱脂・焼結
加熱速度の最適化,結晶粒成長の制御、焼結収縮時の変形・損傷の抑制
その中で、μ-MIM®は汎用MIM技術に立脚した上で、更に高品質化ならびに高機能化した製造技術です。
この観点から、“MIM with Engineering”として提唱する一方で、単なる製品のダウンサイジングに留まらないμ-MIMシステム技術を新しい製造法として確立させるべく取り組んで来ました。
多くのお客様のご要望にお応えし、高度な技術水準で量産化を図っていくことは、私どもの重要な使命であると考えています。