技術ニュース_vol.39配信

2022/09/22

Micro Metal Injection Molding

Technical NEWS LETTER
株式会社 日本マイクロMIMホールディングス 技術ニュース

μ-MIM技術は微小複雑形状の量産に特化したMIM製造技術ですが,その製品を評価する測定技術も含まれることも訴求してきました.これは微小複雑形状の金属部品の正しい評価ができなければ,製造しても市場に受け入れてもらえないという,我々の創設時からの考えによります.今回は微小金属部品の測定がなぜ難しいのか製品事例を用いて紹介します.

なぜ測定技術開発が必要なのか

複雑な横穴を持つ金属部品を高精度に量産する機会が増えています.MIM業界における複雑形状の部品はニアネットシェイプで焼結体を製造し,機械加工で最終形状を達成する方法が広く採用されていますが,微小で位置度などの3次元精度を要求される部品製造の場合,後加工では精度や量産性が顧客の要求を達成できない事例があります.我々のμ-MIM技術は後加工を最小限に抑えるネットシェイプ製造にこだわって開発してきたので,複雑微小部品の高精度で安定した量産に自信があります.しかし,20年以上前になる開発当時は微小な金属部品を非破壊で測定する方法が限られており,自由曲面や内歯ギアなど複雑な内部構造を持つ部品,あるいは規格外の微小な平歯ギア,ヘリカルギアの信頼性のある評価方法の開発も必要でした.

測定技術の特徴と変化

3次元CAD設計が一般的になると,3次元構造の評価需要が高まりました.3次元構造を測定する場合,プローブを製品表面に接触させて測定する3次元接触測定機が挙げられますが,μ-MIM部品の評価では最小のプローブでも測定できない事例が多く見られました.また,微小なプローブの場合,接触子を支える支柱のしなりが原因で,測定誤差が大きく品質保証として運用できない製品事例も見られました.そこで非接触式に3次元構造を測定する方法に重点をおき開発を進めてきました. 可視光は端部でハレーションが発生し金属部品の測定には不適である場合が多いので,電子線を用いる走査型電子顕微鏡(SEM)やX線を用いるCTスキャナが金属部品の寸法管理方法として採用されています.しかし,SEMは高精度に2点間の距離を測定できますが,一度に測定できる範囲が限られるため,3次元構造を測定するのには向いていません.また,内部構造を測定するには断面を露出させる必要があるため破壊測定が必要になります.X線CTは内部構造を非破壊測定できますが,μ-MIM部品の測定には測定スポット径が数μm程度である必要があり,要求を満たす装置の選択肢が限られました.また,高解像度で測定するとデータ容量が大きくなり,測定だけでなく解析にも時間がかかることを目の当たりにしました. 非接触式の測定を模索している中,可視光を用いた3次元構造測定の技術革新があり,数μmのスポット径でステージの動きと連動したデータの取得により高精度な測定ができるATOS Triple scanという装置に辿り着きました.可視光なので内部構造の測定は不可能ですが,貫通穴などアスペクト比が高い構造も高精度に測定します.また,高解像度な測定点群データを取得するため,平面度や輪郭度,特定面からの距離,位置度などのデータ解析も可能です.また大きなデータも効率的に解析するソフトウエアにも助けられました.

これからのμ-MIM®技術

送受信費用も大幅に安価になり,これまで見えなかった数値を簡単に見られるようになりました.同時に,μ-MIM技術による製品が真価を発揮する機会が増えています.これまでの常識を覆す高精度なMIM部品を,これからもμ-MIM技術が提供していきます.

展示会情報     

9月27日から30日にフランス,ブザンソンで開催される欧州最大のマイクロテクノロジー展示会,Micronora 2022に出展します.我々が運用している3DプリンタのメーカーであるIncus GmbHとの共同出展で,ブース番号はC504です.

社員コラム

管理部品質保証の宮里です.入社して5年目になり,現在は試作品の検査及び工程管理に携わっています.私のモットーは一心精進です.試作では臨機応変な対応が必要な場合が量産に比べ多く発生します.この言葉を思い出して,本当に必要な対応を見極め,日々業務をこなしています. 休日は家族と一緒に時間を過ごしてリフレッシュしています.先日は鹿児島県指宿市にあるそうめん流しにいきました.夏の風情を感じる良きところでした.