技術ニュース_vol.11配信

2019/05/31

Micro Metal Injection Molding

Technical NEWS LETTER
株式会社 日本マイクロMIMホールディングス 技術ニュース

μ-MIM技術が広げるチタンの可能性

金属粉末射出成形(MIM)において,金属粉末は最終製品の品質を決める原料です.今回はその金属粉末,特にチタン粉末について紹介します。

金属粉末の現状

世界には855もの金属粉末メーカーが存在します。その約半数は北米,残りの半数ずつが欧州とアジア太平洋地域にあります(2013年)。これらの粉末メーカーが1年間に生産できる量は112万トンとみられ,このうち,4割程度が粉末冶金に使われています。 粉末製造には大きく分けて3つ,機械的粉砕法,アトマイズ法,化学反応法があります。チタン粉末はいずれの方法でも製造されていますが,一般的にMIMでは球体に近い形状で粒径が小さい粉末が必要なので,アトマイズ法によって製造された粉末が採用されています。

MIMに最適なアトマイズ粉末とは

アトマイズ法とは,溶かした金属(溶湯)を少量ずつ流し,その流れに高速の水,あるいはガスを吹き付け,溶湯を飛散,冷却し粉末を得る製造方法です。冷却媒体によって水アトマイズ法,ガスアトマイズ法と分けられます。ステンレスなど比較的酸化反応が起こりにくい金属粉末の製造には,生産性の観点から水アトマイズ法が採用される場合が多いです。しかし,チタンなどの活性の高い金属粉末を製造する場合にはガスアトマイズ法が採用されます。チタンの製造には冷却媒体にアルゴンガスが使用されます。 図1はチタン合金,Ti-6Al-4VのSEM観察画像です.それぞれ,(a)水素化脱水素化処理と機械的粉砕法,(b)電極誘導溶融不活性ガスアトマイズEIGA,(c)プラズマアトマイズ,(d)プラズマ回転電極アトマイズによる粉末です.(a)以外はガスアトマイズ法ですが,種類によって得られる粉末が異なる特徴を持つことが分かります.

μ-MIM技術が最新の粉末製造技術を生かす

MIMにおいて,球形の粉末を使用することで成形時の流動性が上がるため,より複雑な形状を製造することができます。さらに,粒径の分布幅(粒度分布)がある程度細かいほうに広がっている方が,焼結工程での変形を抑えられます。しかし,細かい粉末は表面積が増えるため,流動性を大幅に下げる,バインダーと不要な反応を起こすといった問題があります。 日本マイクロMIMおよび太盛工業では,μ-MIM技術で開発したバインダーを使用することにより,上記の問題点を克服し,MIMの製造に理想的な(b)EIGA,(c)プラズマアトマイズの粉末を使用しています。機械特性を満たしながら複雑な微小部品を製造するのに適した粉末で,μ-MIM技術がチタン部品の量産を実現します。

社員コラム

ドイツ事務所のDavidです。先日はドイツでメディカル関連の展示会にて、様々な方(主に欧州より)が当社のブースへ立ち寄ってくださいました。 「T4M」は新しい展示会として、今年初めてドイツ国内でメディカル・テクノロジーの企業が一番数が多いバーデン・ヴュルテンベルク州で開催されました。ちなみに、当社のドイツ事務所も同じ州にあります。日本マイクロMIMの製品はもちろん医療関連に限らず、色々な業界にご使用いただけます。ドイツ事務所の一員として、大阪の本社と力合わせて、今後とも欧州でより多くのお客様にご満足いただけますように頑張って参ります。