技術ニュース_vol.24配信

2020/12/22

Micro Metal Injection Molding

Technical NEWS LETTER
株式会社 日本マイクロMIMホールディングス 技術ニュース

金属粉末の品質管理における最新トレンド

当社は高解像度の計測X線CTを品質管理に採用しておりますが,近年,この高解像度X線CTを金属粉末の品質管理に応用する動きが見られます.金属粉末の形状特性だけでなく化学組成も同時に分析できるX線CTを用いた金属粉末の分析についてご紹介します.

金属粉末の品質管理

一般的に金属粉末の受入検査では,製造メーカーからのミルシートを参照して粒度分布,SEM-EDX分析による形状,化学組成の確認が行われます.金属3Dプリンターによる金属製品の製造技術開発に世界中の企業がしのぎを削っていますが,造形技術が進歩するにつれ,金属粉末の品質が最終製品の品質に顕著に影響するようになってきました.金属3Dプリンターでは,いずれの造形方式においてもMIMよりもさらに狭い領域で管理された金属粉末を使用しています.さらに多品種小ロット生産に優れる金属3Dプリンターは異なる金属粉末を1つの装置で対応する場合が多く,異種材料の混合を避けるための運用管理を徹底していますが,その品質管理に検出技術も欠かせません. 引張強度などの機械的特性による品質管理は確立された方法ですが,特定領域の微量な異物混合を検出できる可能性が低く,また統計的な評価には大量の試料が必要です.化学分析は高精度に測定できる方法として一般的に知られていますが,試料から作製した溶液を分析するため,異物の発現場所を特定することは不可能です.一方,高解像度の計測X線CTは測定条件によっては,測定スポットサイズを3μm程度まで絞ることができ,さらに非破壊で測定できるため,金属粉末および製品の化学分析の両側面を利用した品質管理への応用が注目されています. X線分析の結果は白黒のグレースケールで得られますが,重い元素ほど明るく検出され,軽い元素や空孔は暗く検出されます.そのため軽い元素の中に重い元素が混入した場合,その部分が明るく検出されるため,異物が混入した場所や大きさが分かります. 図1はチタン合金の中にタングステンワイヤーを意図的に埋め込んだ試料を測定した画像ですが,タングステンワイヤーが明瞭に視認されています.一般的な化学分析では100ppm程度が検出下限ですが,このX線CT分析の検出限界は0.005ppmvと算出されています. 図2は当社が実施したステンレス母材中の異物検出結果です.比重の重いステンレスでも条件の適正化により異物の検出が可能であることが分かります.さらに軽い元素の混入も検出できる条件を得ています.高解像度計測X線CTの化学分析は,測定毎,試料毎に測定条件やグレースケールの閾値の設定を適正化する必要がありますが,今後も微細化,高機能化が進む当社製品の品質管理において重要な位置を占めそうです.

コラム

こんにちは.管理部の川本いずみです.入社して約9カ月になります.日々悪戦苦闘しながら,製品出荷や納期管理を担当しています.様々な部署との連携が不可欠なので,効率的にコミュニケーションをとりながら業務にあたっています.現在は基本業務をこなすことで手一杯ですが,今後自分なりに考えて,出荷まで生産工程が円滑に進むよう,先回りしてできることはないか,伝えるべきことはないか試行錯誤していきたいです. これから本格的な冬を迎えますが,そんなときは沖縄の暖かさを思い出します.温暖な気候の中で馬と一緒に浜辺を歩いた思い出は,のんびりとした心穏やかな気持ちがよみがえります.