技術ニュース_vol.26配信

2021/03/01

Micro Metal Injection Molding

Technical NEWS LETTER
株式会社 日本マイクロMIMホールディングス 技術ニュース

金属3Dプリンターを用いた造形技術開発

弊社のWebページにも掲載しておりますが,山形大学工学部伊藤浩志教授と共同研究している金属3Dプリンターを用いた金属造形技術について,2020年5月と2021年1月に論文がMaterialsに発表されました.今回はその論文について紹介します.

背景

我々の技術ニュースレターでも紹介しました金属3Dプリンターは,3次元の設計データから金属部品を製造できる技術で,様々な造形方法があります.山形大学との共同研究ではFDM(Fused Deposition Modeling)という熱溶解積層法の金属版であるFDMet(Fused Deposition of Metals)という方法を採用しています.このFDMetはフィラメントとよばれる直径が1.7mm程度のワイヤー状の材料を用いますが,そのフィラメントはフィードストック(FS)を押出成形し作製します.そのFSの開発を日本マイクロMIMおよび太盛工業が担っています.

造形条件と機械特性

どのようなタイプの金属3Dプリンターで製造した部品も,その製造方法の特徴から異方性があることが指摘されていました.この論文において,造形条件と機械特性を体系的に調べた結果,積層方向と積層ピッチによって焼結体の機械特性に有意差があることが分かりました.引張試験片を作製しましたが,引張方向と垂直な面を積層して作製した試料は,引張方向と平行な面を積層して作製した試料に比べ強度が低くなることが分かりました.また積層ピッチは0.3mmと0.1mmでは0.1mmで作製した試料の方が密度が高くなり,機械強度も高くなる傾向が見られました.

FSが与える影響

FDMet法では,FSを押出成形しただけのフィラメントを用いて作製するため,FSの特性がそのまま焼結品に反映される部分がMIMに比べ多いです.たとえば,焼結体の相対密度は2つの論文で先に実施しSUS316Lでは94%でしたが,SUS630では98%に上昇しています.これは FDMetの条件を変えていないことから分かるように,FSのFDMet最適化を図った結果です.密度だけでなく,流動性や化学的,物理的安定性もFDMetに使用するフィラメントには要求されますが,我々のμ-MIM®技術を支えているFS開発力が金属3Dプリンターの世界でも可能性を広げます.

コラム

こんにちは.品質管理部の中川です.光学系の3次元測定機で試作品,量産品の測定検査を担当しています.勤続約1年で,測定できることが増えてきました. 2年ほど前にギターを始め,少し前までバンドを組んでいました.元々ロックが好きでしたが,最近はJazzやBluesにも興味が出てきました.まだまだ未熟ですが,アドリブなども出来るように練習しています.ギターで今まで弾けなかったフレーズが弾けるようになった り,測定が難しい所を工夫して測定できるようになったりする瞬間が楽しいです. これからも失敗を恐れず何事にもチャレンジしていく気持ちを忘れずに業務にあたりたいと考えています.