技術ニュース_vol.36配信

2022/05/25

Micro Metal Injection Molding

Technical NEWS LETTER
株式会社 日本マイクロMIMホールディングス 技術ニュース

巷によくある「今さら聞けない〇〇」にあやかり,今月はMIM製品の基本物性である焼結体密度の測定について基本をおさらいしたいと思います.

密度のいろいろ

密度とは単位体積当たりの物質の質量です.質量は地球上ならば一義的に決定されますが,体積の測定方法は種々あり,従って「密度のいろいろ」は「体積のいろいろ」ということになります. 焼結体に限らず無欠陥と保証できる物質は存在せず,実際には下図(b),(c),(d)のように開空孔・閉空孔を合わせもっている物質の体積の測定方法をどうするか,つまり何をもって体積と定義するか,が鍵となります. MIM製品では通常アルキメデス法で測定した密度値と,下図(a)に示す欠陥の全く無い理想物質の真密度に対する相対密度としてパーセンテージで表現しています.

実際の密度測定

1. 見かけ密度 形状が板や棒のような単純形で,かつ(b)のように閉空孔のみの場合,ノギスやマイクロメータで外形寸法を測定して体積を算出し,見かけ密度を算出することができます. 2. アルキメデス法(参照:https://www.jsme-fed.org/experiment/2021_6/001.html) 異形物質で開空孔を有する場合の最も普遍的な測定方法です.注意すべき点は,測定に用いる液体(厳密には1atm下4℃の純水)が開空孔に完全に入り込むかどうかです.(c)はともかく,(d)に示すような開口部が狭小な開空孔が存在する場合,表面張力の低い液体(弊社では主にIPA)を用いて開空孔を極力液体で充填する努力が必要です.このとき体積計算の際には液体の密度補正も忘れてはならない項目です. 3. 乾式測定法 (d)の場合,気体(Heガス)を用いて開空孔を満たし,開空孔を除く物質の体積を精度よく求めることができます. 弊社では,マイクロメリティクス社製アキュピックⅡ1340(下写真)を所有し対応しています. まとめ 以上のように,一口に密度と言っても体積の測定方法によって値が変わってきます.上記では,見かけ密度<アルキメデス法<乾式測定法の順になります.弊社ではアルキメデス法を基本に,焼結体の性状に合わせて乾式測定法も交えて製品評価を行っています.    

コラム

2022年4月12日から14日まで、米国カリフォルニア州アナハイムで開催されたMD&M(Medical Design&Manufacturing)West展に、微細加工工業会のメンバーとして参加させて頂きました。 このように、様々な微細加工領域の素形材分野に強みを持つ他の企業と協力し、MD&M West展に参加するのは今回が2回目になります。展示会参加者の方々は、コロナ後の展示会を対面で行う事にとても喜んでいました。当社のMIM製品サンプルを見て、「μ-MIM ®技術でこんなに小さくかつ高精度な部品を作ることが出来るとは想像もしていませんでした!」と多くの方からコメントを頂きました。 次に出展する海外展示会は、2022年9月27日から30日までフランスのブザンソンにあるMicronora展(欧州最大のマイクロテクノロジー展示会)です。お越しの際は是非当社ブースにもお立ち寄り下さい。 ダウンロード